グルメサイト「食べログ」の星の数だけを頼りに店を選ぶと、本当に面白い店を見落とすことになる。ネットのアルゴリズムに乗らない、地元通だけが密かに通い詰める名店が、宮川町や西陣の細い路地奥に潜んでいるのだ。看板すら出さず、一見客には扉の開け方すら分からないような隠れ家である。
独自取材で明らかになったのは、驚くほど誠実な仕込みを続ける職人たちの姿だ。朝獲れの旬魚を独自の技術で寝かせ、極限まで旨味を引き出す小料理屋。築100年の町家で、店主が自ら山に入って摘んできた野草を天ぷらに仕立てる隠れ割烹。これらの店は、宣伝を一切しない。席数がわずか6席から8席程度しかないため、情報をオープンにしすぎると常連が入れなくなってしまうからだ。本物の美食体験を求めるなら、ネット上のスコアではなく、土地の空気を吸い、路地の奥へ踏み込む勇気が必要になる。