「熊よけスプレーで助かった人はいない」は嘘?生還率9割の真実と失敗の罠

「熊よけスプレーで助かった人はいない」は嘘?生還率9割の真実と失敗の罠

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机上のデータだけでなく、現場で死線をくぐり抜けた人々の生々しい証言からも、スプレーの真価が浮き彫りになります。熊から生き残った人の体験談には、共通する緊迫したプロセスが存在します。

北アルプス山系で単独山行中にツキノワグマと遭遇した50代男性のクマスプレー生還事例では、ブラインドカーブを曲がった直後、わずか5mの距離で母グマが唸り声を上げて突進してきたといいます。男性は咄嗟に腰のホルスターからスプレーを引き抜き、セーフティクリップを外して鼻先に向けて2秒間噴射しました。充満したオレンジ色の霧に突っ込んだクマは、激しく咳き込むような仕草を見せ、そのまま脱兎のごとく斜面を駆け上がって消え去りました。男性は完全に無傷でした。

また、北海道の日高山脈で渓流釣りをしていた男性の事例では、藪の中から突然現れた体長2m近いエゾヒグマに対し、約7mの距離から噴射。強風の中で霧がヒグマの顔面を捉えると、巨体が一瞬で硬直し、激しく首を振りながら川を渡って逃げていったと語られています。「もしスプレーが手元になければ、確実に命を落としていた」と男性は振り返っています。

これらの事例に共通しているのは、遭遇から噴射までの初動が「数秒以内」に行われている点です。スプレーの威力を信じ、冷静に行動できた人だけが、最悪の結末を回避しています。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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