筋肉に触れたときに指先に触れる頑固なしこり「筋硬結(きんこうけつ)」とは、専門用語で「筋攣縮結節(タウトバンド内の結節)」を指します。筋肉全体が硬直するいわゆる「筋肉の張り」とは異なり、ミリ単位から数センチの範囲で筋線維が過剰に収縮し、ロープ状に硬化した状態です。
なぜこのような現象が起きるのか、その筋肉のしこり 原因の根底にあるのは「局所的なエネルギー危機」です。骨格筋が収縮する際、運動神経の終末から神経伝達物質であるアセチルコリンが過剰に放出されると、筋小胞体からカルシウムイオンが流れ出し続けます。通常であれば、細胞内のエネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)の働きによってカルシウムイオンは回収され、筋肉は弛緩します。しかし、同じ姿勢の維持や過度な負荷が続くと局所の血管が押し潰され、酸素と栄養が途絶えてATPが枯渇します。結果として筋肉を緩めるシステムそのものが機能停止に陥り、筋線維が収縮したまま元に戻らなくなるのです。
この持続的な収縮部位では、ブラジキニンやプロスタグランジン、サブスタンスPといった発痛物質が次々と産生されます。これらが周囲の感覚神経を刺激し、触れると飛び上がるような痛みを誘発する圧痛点を形成します。さらに悪化すると、単にその部位が痛むだけでなく、離れた部位にまで痛みを飛ばすトリガーポイントへと変貌を遂げます。