近年、特にトラブルが多発しているのが小型特殊トラクターの公道走行をめぐる法解釈です。農機具メーカーの技術革新や大規模農業の進展に伴い、トラクターは急速にハイパワー・大型化しています。ここで理解しておかなければならないのが、道路交通法と道路運送車両法のねじれから生じた新小型特殊自動車の免許条件です。
農林水産省および国土交通省の取り決めにより、トラクターやコンバインなどの「農耕作業用自動車」に限っては、車体寸法(4.7m×1.7m×2.8m)を超えていても、構造上の最高速度が時速35キロメートル未満であれば、道路交通法上は小型特殊自動車として扱われます。つまり、一見するとダンプカー並みに巨大な最新鋭トラクターであっても、速度設計が34km/hであれば普通免許で堂々と公道を走れるケースが存在します。
しかし、落とし穴は輸入製トラクターや大型高速トラクターの台頭です。欧州メーカー製を中心とした最新型トラクターの中には、最高速度が時速40キロメートルや50キロメートルに達するモデルが数多く流通しています。これらは農業用トラクターの免許種類において「大型特殊自動車」に分類されるため、普通免許で公道を走らせた瞬間に無免許運転が成立します。
さらに、農林水産省がガイドラインを改定して以降、作業機(ロータリー、プラウ、ハロー等)を装着したままの公道走行が一定の条件付きで認められるようになりました。しかし、直装作業機を付けたことで全幅が2.5メートルを超えたり、全幅から灯火器類が隠れたりした場合は、幅員表示板の設置や特殊車両通行許可、誘導車の配置といった過密な要件が発生します。「作業機を付けたら小型特殊の枠をはみ出し、大型特殊扱いになった」と警察署に指摘されるケースが多発しているのが実情です。