ネット上では「金のためなら命を捨ててもいい」という極論として誤解されがちですが、利根川幸雄の演説を精読すると、言葉の真意は全く別のところにあります。
利根川が本当に糾弾したのは、「金を欲しがりながら、その対価となる努力やリスクを一切払おうとしない甘えの構造」です。作中の債務者たちは、借金を重ねて人生を投げ出していながら、いざとなると「自分はお客さまだ」「命を危険に晒すな」と被害者面をして権利を主張しました。
つまり、利根川の真意は「命を粗末にするな」ではなく「お前たちはすでに自分の命をドブに捨ててきたではないか」という厳しい指摘です。真剣に生きることなく浪費された命に、エリートが血と汗で稼いだ大金と同等の価値を認めるわけにはいかないという、極めて筋の通った自己責任論の提示だったと言えます。