スポーツの国際舞台において、イギリスの枠組みは世界のファンをたびたび混乱させます。サッカーのFIFAワールドカップではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドがそれぞれ単独チームとして出場するのに対し、近代オリンピックでは「Team GB(英国選手団)」として一本化されます。
サッカーにおいて4地域が別個に出場できるのは、近代サッカーのルールを確立した国際サッカー評議会(IFAB)および各地域のサッカー協会(FA)が、1904年のFIFA設立よりもはるか昔(19世紀後半)に発足していたためです。FIFAは「サッカーの母国」に対する歴史的敬意として、例外的に4つの独立した協会(Home Nations)としての加盟資格を認めています。
一方、現地を訪れる際やビジネスにおいて厳格な注意を要するのが、住民の呼称(Demonym)です。スコットランド人やウェールズ人、北アイルランド人に対して「English(イングランド人)」と呼びかけることは、歴史的な支配関係への反発や地域への誇りを傷つける重大な失礼に当たります。
英国社会調査(British Social Attitudes)等の公的意識調査でも、スコットランド住民の多くが自らのアイデンティティを「British(英国人)」以上に「Scottish(スコットランド人)」と強く定義していることが示されています。全土を包括する場合は「British」または「UK citizens」を用いるのが国際的なマナーです。