球速だけを見れば、今永のフォーシームは平均91〜93マイル(約146〜150km/h)前後であり、100マイル超えが珍しくない現代MLBにおいて決して剛速球の部類ではありません。それにもかかわらず、なぜメジャー屈指のスラッガーたちが彼の直球に差し込まれ、空振りを喫するのでしょうか。
その鍵を握るのが、独自の球種・球速データに隠された「ボールの軌道」です。今永の直球はリリースポジション(球を放す位置)が低く、そこから放たれるボールは垂直方向のホップ成分(Induced Vertical Break / IVB)が約19〜20インチとメジャートップクラスの数値を叩き出します。打者の脳内イメージよりもボールが落ちてこないため、バットの上を通過して空振りやポップフライになる現象が起きています。
さらに、この直球と全く同じトンネル(球筋)から鋭く沈むスプリット(チェンジアップ)、カウント球として機能するスイーパーやカーブが打者の狙いを完全に狂わせます。「球速表示以上の体感速度」と「精密なコマンド」の融合こそが、全米を震撼させる最大の要因です。