住宅や店舗の両開きドア 子扉 固定金具として広く普及しているフランス落としは、英語圏では「フラッシュボルト(Flush Bolt)」と呼ばれる建築金物の一種だ。ドアの木口(側面)や見付面に平らに埋め込まれ、ツマミを上下にスライドさせることで、上下の枠や床に設けられた受け穴(ツボ金物・受け座)へ金属棒(ロッド)を突き出して扉を強固に固定する。
気になるフランス落としの由来には、日本の近代建築史が深く関わっている。明治から大正にかけて西洋建築が日本に持ち込まれた際、フレンチドアと呼ばれる両開きのガラス戸や観音開き扉とともに、この固定金具が国内に伝わった。当時の大工や建具職人が、フランス風の扉で使われていた棒を「落とし込む」機構をそのまま「フランス落とし」と呼び始めた通称が、現在も業界標準の名称として定着している。
構造自体は非常にシンプルで、操作レバー、連動ロッド、固定プレート、そして枠側の受け金具で構成される。シンプルな構造ゆえに耐久性は高いものの、日常的な振動や経年劣化によってわずかなズレが生じると、一気に操作性が悪化しやすいデリケートな一面も併せ持つ。