『チェリー』が30年にわたり色褪せない理由は、言葉の美しさだけではありません。音楽理論的にも極めて完成された構造を持っています。
本作のコード進行は、名曲の黄金律と呼ばれる「カノン進行」をベースに構成されています。キーはCメジャー(ハ長調)で、アコースティックギターの基本コード(C - G - Am - Em - F - C - F - G)を中心に展開されるため、ギター初心者が最初に手にするコード譜としても定番中の定番となっています。シンプルでありながら、草野マサムネ特有の哀愁を帯びたメロディラインが乗ることで、唯一無二の普遍性を獲得しています。
その親しみやすさと圧倒的な楽曲力ゆえに、国内外のトップアーティストによるカバー作品も枚挙にいとまがありません。秦基博や絢香、Official髭男dismの藤原聡、sumikaの片岡健太、福山雅治など、数多のミュージシャンがそれぞれの解釈で歌い継いできたことも、楽曲の魅力を次世代へと繋ぐ大きな原動力となっています。