ペパーミントとスペアミントを分ける最大の要因は、葉に含まれる精油成分の化学組成にあります。鼻に抜ける強烈な冷涼感と舌に残るピリッとした刺激を持つペパーミントに対し、スペアミントはほのかに甘く、どこか青々しい穏やかな香気を持っています。
香料業界および生薬分析の公式データによると、ペパーミントの精油中にはl-メントールが約40〜60%含まれており、これが冷感受容体(TRPM8)を直接刺激することで強力な冷却感を生み出します。一方で、スペアミントにはメントールがほとんど含まれず、主成分のl-カルボンが50〜70%を占めています。カルボンはガムやお菓子に代表されるマイルドな甘さを帯びた爽やかさを醸し出します。
植物学的な出自を辿ると、スペアミントは太古から自生していた原種の一つであるのに対し、ペパーミントは17世紀の英国でスペアミントとウォーターミントが自然交配して誕生した交雑種です。刺激的な清涼感と薬効の高さから「コショウのように刺激的」という意味を込めてペパー(Pepper)ミントと名付けられた歴史的経緯があります。