朝ドラファンの間でしばしば話題にのぼるのが、物語の序盤や中盤で強烈な印象を残した子役の現在です。戦後の混乱期、焼け跡の蒲田で梅子と出会い、生きる希望を取り戻していく戦争孤児・ヒロシを演じた吉川史樹さんは、子役時代を経て青年俳優へと成長。声優や舞台など、表現の場を広げながら着実なステップを踏んでいます。また、梅子と信造の間に生まれた長男・健太郎や、近隣の子どもたちを演じた子役たちも、現在は立派な成人や実力派若手として多方面で活動しており、再放送を観た視聴者からは驚きの声が上がっています。
一方で、14年という歳月の流れは、作品を重厚に支えた名優たちとの永遠の別れももたらしました。ネット上で検索されることの多いキャストの死亡者に関する情報ですが、これらは長寿作品ならではの追悼の歴史でもあります。
特に視聴者の胸を締め付けたのは、梅子たちが通う大衆食堂の店主をコミカルに演じた小林すすむさんの訃報でした。小林さんは本作の放送期間中であった2012年5月、スキルス胃がんと肝臓がんのため58歳の若さで急逝。撮影現場では病魔と闘いながら最後までプロとしてのユーモアを失わなかったことが、当時のキャストやスタッフの手記でも明かされています。さらに、下町の長老や患者役として圧倒的なリアリズムを吹き込んだ織本順吉さん(2019年没、享年92)や、佐々木すみ江さん(2019年没、享年90)など、昭和演劇史を築いてきた巨星たちが惜しまれつつ世を去りました。彼らの重厚な息遣いがフィルムに刻まれているからこそ、『梅ちゃん先生』の町並みには色あせない本物の生活感が宿っています。