『梅ちゃん先生』が朝ドラ史上に残るヒット作となった最大の要因は、尾崎将也氏による巧みな脚本と、ヒロイン・下村梅子の「等身大の泥臭さ」にあります。当時の朝ドラは、視聴率の低迷期を脱しつつある過渡期にありました。その中で本作は、2003年春の『こころ』以来、実に9年ぶりとなる期間平均視聴率20%超えを達成。最終回に向けて最高視聴率24.9%を記録するなど、社会現象とも言える熱気を見せました。
テレビ誌の元デスクは当時の熱狂を次のように振り返ります。「当時の日本社会は震災からの復興途上にあり、過度なサクセスストーリーよりも、日々のささやかな暮らしや家族の絆を温かく描く物語が切実に求められていました。梅子は決して天才肌の医師ではなく、失敗を繰り返しながら周囲の助けを得て前進していく。その人間味あふれる成長曲線が、日本中の朝に確かな癒やしと元気を注ぎ込んだのです」。