焼き鳥が「大衆の酒肴」から「洗練された日本料理の一分野」へと進化を遂げた背景には、火入れの技術革新がある。ここで主役を務めるのは、最高峰の火力を誇る紀州備長炭だ。表面を瞬時に焼き固めて肉汁を閉じ込め、遠赤外線効果で中心部までしっとりと均一に熱を届ける。このミリ単位の温度コントロールこそが、職人の真骨頂である。
使われる肉は、全国から厳選された軍鶏・銘柄鶏。血統や飼育日数、締めの時間にまでこだわり抜いた鶏肉は、野性味あふれる力強い弾力と、噛むほどに溢れ出る濃密な旨味を併せ持つ。皮目はパリッと香ばしく、中は驚くほどジューシー。ひと串ごとに異なる部位の魅力を極限まで引き出すカット技術と串打ちの精度が、食べる者を唸らせる。