ロサンゼルスに燦然と輝く伝説的な名画座ニュー・ビバリー・シネマは、こうした時代の潮流に対する最大の砦と言える。オーナーを務めるタランティーノは自らの私財を投じ、この劇場のすべての上映を35mmフィルムで行うという徹底した美学を貫く。「デジタル投影は単なる巨大なテレビに過ぎない」と語る彼の言葉は、かつて当たり前だった「本物の映画体験」を次世代へ繋ぐための必死の抗戦だ。
しかし、こうした独立系の映画館が直面する現実は過酷を極める。現像所の相次ぐ閉鎖、熟練したフィルム技師の高齢化、そして上映用プリント自体の摩耗。物理的なフィルムで映画を上映し続けること自体が、現代の映画界においては奇跡に近い挑戦なのだ。