烏野高校バレー部において、武田一鉄という存在は極めて異質であり、同時に不可欠な道標だった。バレーボールのルールすら手探り状態だった新米教師。しかし、強豪校との練習試合を取り付けるために何度も足を運び、頭を下げ続けた情熱は本物だった。その武田に声を吹き込んだ神谷浩史は、抑えめでありながらも芯のある独特な発声で、教師としての青くさい誠実さを見事に体現してみせた。
大声援が響き渡る体育館で、選手たちの背中をそっと押す静かな言葉。神谷の演技は、視聴者が「自分もこんな恩師に出会いたかった」と思わせる説得力に満ちている。少年漫画の歴史を見渡しても、これほど指導者としての情熱と人間的な脆さを絶妙なバランスで演じ切った例は珍しい。