往年のアニメファンにとってコメディエンヌの印象も強いドロンジョですが、2022年にタツノコプロ創立60周年記念作品として制作されたWOWOWの連続ドラマ『DORONJO/ドロンジョ』(全11話)では、彼女がなぜ悪に身を投じることになったのかという「前日譚の壮絶な過去」が克明に描かれ、大きな衝撃を与えました。
ドラマ版の主人公は、池田エライザ氏が演じた泥川七音(どろかわ・なお)。貧困や過酷な家庭環境に苛まれながらも、生きる意味を見出すためにアマチュアボクシングの世界で泥臭く拳を振るう少女でした。しかし、理不尽な暴力と予期せぬ事故によって片脚と片腕を失い、ボクサーとしての未来を完全に断たれてしまいます。希望を奪われ、社会の片隅へと追いやられた彼女は、生き抜くために冷徹なサイボーグ義肢を受け入れ、やがて裏社会へと身を投じていきます。
ドラマの第9話において明かされた「ドロンジョ」という名の由来は、「泥棒する女王」という過酷な現実への皮肉と決意が込められたものでした。単なる勧善懲悪の枠組みを超え、「正義とは何か、悪とは何か」という表裏一体のテーマを背負わされた七音の叫びは、既存のパブリックイメージを覆すダークエンターテインメントとして視聴者の心を強く揺さぶりました。