「画数が少ない文字ほど、誤魔化しがきかない」――これは書道家たちが口を揃えて語る鉄則だ。NHK教育テレビジョンの講座番組などでも、筆文字の基本ステップとして四画の文字が度々取り上げられる。例えば「月」の文字では、一画目の払いの角度と二画目の転折の張りが全体の骨格を左右し、内部の余白が不均等になると途端に全体のバランスが崩れてしまう。
毛筆で美しい四画を描くためのポイントは、紙面に対する線の「配置」と「始筆・終筆の抑揚」にある。複雑な漢字であれば線同士の重なりで字形を維持できるが、四画では背景となる白地が文字の一部として機能する。空間の美意識を研ぎ澄ませる訓練として、四画漢字の揮毫は書道における最高のトレーニングといえる。