栄華を極めた八王子の豪邸を手放す決断を下した背景には、現実的なライフステージの変化と見事なまでの「終活」の哲学が存在します。弟子たちが次々と一本立ちして独立し、事務所機能の縮小が進むにつれ、36部屋の大半が使われない状態になっていました。
広大な敷地と建物を維持するには、年間数百万円から数千万円規模の維持管理費、光熱費、固定資産税がかかります。さらに、庭園の手入れや警備体制の維持など、高齢を迎えた北島夫妻にとって過剰な管理負担が重くのしかかるようになっていました。
そして何より決定的だったのが、残された家族への相続対策と資産整理です。広大すぎる不動産は、将来的に相続税の支払いなどで遺族に重い金銭的・手続き的負担を強いることになりかねません。「自分が元気なうちに身の回りを清算し、家族や周囲に迷惑を残さない」という北島の強い美学が、八王子の売却と資産の現金化・スリム化という英断を後押ししました。