映画監督・園子温がメガホンを取った『冷たい熱帯魚』の現場など、過激さとリアリズムが交錯する制作環境にも彼女は臆することなく飛び込んでいた。エキストラや端役であっても、フレームの端でどのような呼吸をし、空気をどう濁らせるか。そうした徹底的なプロ意識を、若くして身につけていた。
芸能界という過酷な競争社会の中で、彼女が見つめていたのは売れることや知名度ではなく「表現の純度」そのものだった。当時の共演者たちは、彼女が空き時間に台本をボロボロになるまで読み込み、役柄の生い立ちを何枚ものノートに書き殴っていた姿を鮮明に記憶している。生半可な気持ちで芝居に向き合っていなかった証拠が、散逸した記録の端々からこぼれ落ちてくる。