物語の出発点となった茨城県北部の架空の村「奥茨城村」。青々とした稲穂が揺れ、家族や近所の人々が囲炉裏を囲んで笑い合う風景は、放送当時から視聴者の郷愁を強く揺さぶった。ドラマ前半の舞台であるこの村で描かれたのは、特別な大冒険ではない。家族のために出稼ぎに出た父・実(沢村一樹)の失踪という悲劇に見舞われながらも、健気に前を向くみね子と、彼女を取り巻く村人たちの温かな絆だ。
制作陣が徹底したのは、悪人を一人も作らないという姿勢だった。登場人物それぞれが抱える寂しさや不安に寄り添い、お互いを思いやる言葉を重ねていく。テンポの良さや過激な展開で視聴者を惹きつける手法が全盛となった近年のテレビ界において、このじっくりと人々の生活を描くスタイルは、かえって新鮮な衝撃を視聴者に与えている。