『人生いろいろ』の歌詞を読み解く際、単なる「男と女の別れの歌」として受け取ると、この曲の真価を見落とすことになります。冒頭の「死んでしまおうなんて 悩んだりしたわ」というあまりにも生々しいフレーズは、当時プライベートで極限の苦境に立たされていた島倉千代子さんの心情を、作詞家の中山大三郎氏がダイレクトに投影したものです。
島倉千代子さんといえば、1955年のデビュー曲『この世の花』以来、「悲哀を帯びた泣き節」で一世を風靡した正統派演歌歌手でした。しかし中山氏は、彼女の波乱に満ちた半生を見つめ続け、「これ以上悲しい歌を歌わせるのではなく、すべてを笑い飛ばして前を向けるような人生賛歌を歌わせたい」と熱望しました。サビで繰り返される「人生いろいろ 男もいろいろ 女だっていろいろ 咲き乱れるの」という言葉は、失恋や挫折すらも人生の豊かな色彩の一部として肯定する、究極の人間賛歌です。
ネット上の歌詞検索サイトなどで「ふりがな付き」の歌詞をあらためて追うと、難しい語彙は一切使われておらず、平易な言葉だけで人生の深遠な真理を言い当てていることがわかります。飾らない言葉だからこそ、老若男女の胸に真っ直ぐ突き刺さる普遍性を持っています。