ネット上の相談窓口やSNSで頻繁に混同されているのが「ヤスデ」と「ムカデ」です。どちらも無数の脚を持ち、細長い体躯を波打たせて歩くためパニックになりがちですが、その危険性は天と地ほど違います。
両者の決定的な違いは「体型・動き・毒牙の有無」です。ムカデは体が平べったく、1つの体節から左右1対(2本)の脚が生えており、攻撃的で猛スピードで動き回ります。頭部には強靭な毒牙を持ち、触れたものに瞬時に噛みつきます。噛まれると激痛が走り、重症化するとアナフィラキシーショックを引き起こす危険性すらあります。
対してヤスデは、断面が丸っこい円筒形で、1つの体節から左右2対(4本)の脚が生えています。動きは非常に遅く、危険を察知するとダンゴムシのようにトグロを巻いて静止します。噛むことはありませんが、刺激を受けると側面に並ぶ臭腺から「シアン化水素やペラルゴン酸を含む強烈な悪臭分泌液」を放出します。この液体が皮膚に付着すると赤くかぶれ、目に入ると激痛や結膜炎を引き起こすため、決して素手で触れてはなりません。
梅雨時や秋雨の時期に「庭先や玄関の壁一面に無数の黒い虫が群がっている」という現象が全国で報告されますが、その9割以上はヤスデの集団移動です。土壌の過湿から逃れるために一斉にコンクリート面を這い上がる生態があり、見た目の恐怖感から通報が相次ぐ現場の風物詩となっています。