横手市といえば、冬場には数メートルもの積雪に見舞われる全国有数の豪雪地帯だ。12月から3月上旬にかけて、屋外のグラウンドは分厚い白銀の壁に覆われ、まともなボール回しすら不可能になる。さらに同校は県内有数の進学校。平日放課後の練習時間は日没や補習授業の影響で、実質わずか1時間半から2時間程度に制限されていた。
「設備や練習時間で私立の強豪校と勝負しても勝てるわけがない。だからこそ、自分たちが持っている最大の武器である『思考力』を野球に持ち込んだんです」。就任4年目の指揮官が明かす戦略は極めて合理的だった。雪で外に出られない冬の数ヶ月間、ナインは校内の廊下や体育館の片隅で筋力トレーニングに励む一方、ミーティングルームに籠もり、相手投手の配球パターンや守備位置の癖を解析する『頭脳の鍛錬』に時間を費やしたという。