川嶋舟氏の生き方を理解するうえで、父である故・川嶋辰彦氏の影響を無視することはできない。学習院大学名誉教授を務め、経済学者として地域社会の開発や統計学に情熱を注いだ辰彦氏は、飾らない人柄と学問に対する真摯な姿勢で知られた人物だった。
質素を旨とし、学生たちと同じ目線で対話を重ねた父の背中。この人物ノンフィクションのような家庭環境が、舟氏の価値観の根底を形作ったことは想像に難くない。名声や権力に寄りかかるのではなく、自らの足で現場を踏み、自分の手でデータを集める。その学問的リアリズムは、彼が選んだ専門分野の随所に息づいている。