生態学の研究領域には、生物が食物網のどこに位置するかを客観的に示す「栄養段階(Trophic level)」という指標が存在する。太陽光からエネルギーを作り出す植物などの一次生産者を「1」とし、それを食べる草食動物を「2」、さらに上位の肉食動物へと数値が上がっていく仕組みだ。
フランス海洋開発研究所(IFREMER)の研究者シルヴァン・ボノモー氏らが発表した画期的な論文は、世界に強い衝撃を与えた。国連食糧農業機関(FAO)が蓄積した世界各国の膨大な食料統計データを基に人類の栄養段階を分析したところ、算出された数値はわずか「2.21」。これは完全な肉食で頂点に君臨するホホジロザメやライオン(数値4.5〜5.5)には遥かに及ばず、植物と肉をともに食べるブタやアジ、アンチョビと並ぶ中位のランクだ。