基礎的な概念であるにもかかわらず、大人の学び直しや資格試験(公務員試験の数的処理など)でも頻繁に落とし穴となるのが「図形の向きによる錯視」と「外側の高さ」です。
第一の盲点は、平行四辺形には「底辺」と「高さ」のペアが2組存在するという基本事実の見落としです。底辺をどの辺に設定するかによって、対応する高さは全く異なります。横長の辺を底辺と置いたときの高さと、斜めの辺を底辺と見立てたときの高さは当然長さが違います。しかし、どちらのペアを用いて計算しても、導き出される面積の数値は厳密に一致しなければなりません。この性質を逆手に取り、「面積を先に算出した上で、もう一方のペアの高さを逆算させる」問題は、中学入試や適性検査における頻出トラップとなっています。
第二の盲点は、細長い平行四辺形において発生する「高さが図形の外に飛び出すパターン」です。底辺の両端から垂線を下ろそうとしても、図形の傾きが強すぎる(角度が極端に鋭い)場合、垂線の足は底辺そのものではなく「底辺の延長線上」に落ちます。初学者の多くは「図形の内側に線が引けない=高さが存在しない」と錯覚してパニックに陥ります。高さとは「底辺を含む直線と、対辺を含む直線の間の最短距離」であるため、延長線上に引かれた垂線の長さを用いても全く問題ありません。