妊娠が判明した際、最も知りたい指標となる「出産予定日(40週0日)」は、どのように算出されているのでしょうか。世界中の産科で使われている代表的な計算式が、19世紀のドイツの産科医フランツ・ネーゲレが提唱した「ネーゲレ概算法(Naegele's rule)」です。
ネーゲレ概算法の計算式は非常にシンプルです。最終月経が始まった日付を基準とし、以下のように割り出します。
- 月:最終月経の月から「3」を引く(引けない場合は「9」を足す)
- 日:最終月経の日に「7」を足す
例えば、最終月経が「4月10日」に始まった場合、月は4−3=1月、日は10+7=17日となり、出産予定日は翌年の「1月17日」と導き出されます。この計算によって算出される日数は、妊娠0週0日から数えてちょうど280日後(満40週0日)となります。
ここで多くの人が直面するのが、「十月十日(とつきとおか)」という伝統的な言い回しと、カレンダー上の月数の食い違いです。日本の暦では1ヶ月は30日または31日ですが、産科医学における「妊娠月数」は1ヶ月=4週間(きっちり28日)と定められています。この単位の違いを整理すると、ズレの正体が浮き彫りになります。
28日を1ヶ月とカウントするため、28日×10ヶ月=ちょうど280日になります。一般のカレンダー(太陽暦)で10ヶ月を計算すると約304日になるため、産科でいう「妊娠10ヶ月(36週〜39週)」は、世間一般の感覚からすると「約9ヶ月が経過した時点」に相当します。この計算単位のズレを理解していないと、「臨月に入ったのにカレンダーの月数と合わない」といった無用な混乱に巻き込まれることになります。