毛のない犬の真実と飼育のリアル|代表的な種類とアレルギーの盲点

毛のない犬の真実と飼育のリアル|代表的な種類とアレルギーの盲点

毛のない犬の真実と飼育のリアル|代表的な種類とアレルギーの盲点の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。

犬の体をびっしりと覆うはずの被毛が存在しない理由は、突然変異による遺伝子情報(外胚葉異形成)に起因します。歴史的に古いチャイニーズクレステッドドッグやショロイツクインツリ、ペルービアンヘアレスドッグの3犬種は、いずれも「FOXI3遺伝子」の常染色体優性変異を持っていることが分子生物学の研究で解明されています。外胚葉は皮膚、被毛、爪、歯などを形成する胎生組織であるため、毛が生えないだけでなく小臼歯などの歯が先天的・部分的に欠損するという特徴を併せ持つのです。

この優性遺伝には「致死遺伝子」としての側面があり、毛のない遺伝子をホモ接合(2つ重複)で受け継いだ胎児は母胎内で死亡します。そのため、誕生するヘアレス犬はすべてヘテロ接合(遺伝子を1つだけ持つ個体)であり、交配の過程で必ず一定割合の「全身に毛が生えた個体(パウダーパフやコーテッド)」が自然界の摂理として誕生します。一方で、近年に固定化されたアメリカンヘアレステリアは「SGK3遺伝子」の常染色体劣性変異によるものであり、歯の欠損が見られないなど遺伝的な成り立ちが根本から異なります。

これに対し、一般的な犬で発生する犬の脱毛症の理由は、先天的ではなく後天的な生体トラブルです。ホルモン異常を引き起こすクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や甲状腺機能低下症、原因不明とされるアロペシアX(脱毛症X)、さらには毛包虫症やアトピー性皮膚炎などが挙げられます。遺伝的に毛を持たないヘアレスドッグと、疾患によって被毛が抜け落ちるトラブルとでは、原因も治療方針も全くの別物です。もし通常の愛犬の被毛が左右対称に薄くなったり、皮膚の黒ずみやかゆみを伴って抜け落ちている場合は、犬の毛が抜ける原因と対策を獣医師とともに早急に特定し、血液検査や投薬治療を行う必要があります。

森 瞳
著者

森 瞳

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