館内へ足を踏み入れる前に、まず来館者を圧倒するのがポーチ(屋外屋根下)に吊り下げられた巨大なクジラ類の全身骨格標本です。体長約19メートルのナガスクジラをはじめ、マッコウクジラ、ザトウクジラ、ミンククジラが頭上を泳ぐように並ぶ光景は圧巻のひと言。浜辺に漂着した個体を学芸員やボランティアの手で丹念に掘り起こし、骨格へと組み上げたという現場の執念が、その巨躯のすみずみから放たれています。
館内展示で最大のハイライトとなるのが、第2展示室「地球と生命の歴史」に鎮座する古生物コレクションです。中生代の王者アロサウルスやステゴサウルスの骨格標本が放つ陰影は、恐竜ファンならずとも息をのむ迫力に満ちています。さらに見逃せないのが、大阪湾の底や各地の地層から実際に発見されたナウマンゾウやヤベオオツノジカの骨格復元です。かつて自分たちが暮らすこの関西の地に、これほど雄大な古代生物が闊歩していたという厳然たる事実は、来館者に鮮烈な時間旅行の感覚を呼び覚まします。
展示は単なる骨格の陳列にとどまりません。第3展示室「生命の進化」では昆虫から植物、海洋生物に至る膨大な分類群が壁一面を埋め尽くし、第4展示室「生き物のくらし」では食物連鎖や寄生・共生のリアルなドラマが標本ジオラマで克明に図解されます。知性の解像度が一気に上がる緻密な構成は、知的好奇心を刺激する仕掛けに満ちあふれています。