世界淡水魚園水族館「アクア・トト ぎふ」のエントランスを抜け、エレベーターで最上階の4階へと案内された瞬間から、来館者は一本の壮大な水の旅へと引き込まれます。展示フロアは4階から1階へと下るスロープ構造になっており、「長良川の源流」から「中流・下流」、そして「アジアの大河」「アフリカの湖沼群」「アマゾン川の熱帯雨林」へとシームレスに展開していきます。この「源流から世界の大河へ」という明確な空間演出こそが、訪れる人々に高い知的好奇心と深い没入感を与える核心です。
まず圧倒されるのが、4階および3階で展開される地元・岐阜の清流文化の再現度の高さです。自然光を取り入れたドーム状の空間には、苔むした岩肌や飛沫を上げる滝、鬱蒼とした木々が生い茂り、日本の原風景が広袤しています。その水底に静かに潜むのが、国の特別天然記念物であるオオサンショウウオの生態展示です。人工的な水槽の枠を超え、源流の薄暗い岩陰を忠実に再現した環境下で、息を潜めて彼らの微細な呼吸や皮膚の質感を間近で観察できる体験は、教科書では得られない生命の凄みを伝えてくれます。
フロアを降り進むと、風景はドラスティックに一変します。2階から1階にかけて広がる世界の淡水域エリアでは、東南アジアのメコン川に生息する全長3メートル級のメコンオオナマズや、南米アマゾン川の生きた化石と呼ばれる巨大魚ピラルクーの展示が待ち構えています。巨大な回遊水槽を悠然と泳ぐ巨体は、淡水魚に対して抱かれがちな「地味」「小型」というステレオタイプを瞬時に打ち砕きます。薄暗い照明の中に浮かび上がる巨鱗の輝きは、まるで太古の地球にタイムスリップしたかのような錯覚さえ覚える迫力です。
静的な鑑賞体験にとどまらない動的な仕掛けも計算し尽くされています。屋外テラスに設けられた「カピバラテラス」では、のんびりと湯に浸かる姿に癒やされるだけでなく、カピバラのふれあい・エサやり体験が実施されており、小さな子ども連れやカップルの歓声が絶えません。水族館飼育スタッフの解説を聞きながら直接笹の葉などを差し出すひとときは、生命への親近感を醸成する格好の機会となっています。