皮膚の病変に関して、一般生活者の間には根強い誤解やネット上の俗説が蔓延しています。早期発見を阻む代表的な3つの盲点を検証します。
誤解1:「痛みや強いかゆみがないから悪性ではない」
これは受診遅れを引き起こす最大の誤謬です。多くの皮膚がんは、初期から中期にかけて自覚症状(痛み・痒み)をほとんど伴いません。皮膚の神経組織を直接圧迫・破壊するほど病変が進行しない限り、激しい痛みは生じないのが通例です。「痛くないからただのいぼ」と判断するのではなく、「痛くもないのに治らない潰瘍がある」「痛みのない黒いいぼが成長している」ことこそが悪性を疑う根拠となります。
誤解2:「市販のいぼ治療薬(サリチル酸など)や民間療法で取ればいい」
ドラッグストアで市販されている角質軟化薬(サリチル酸配合の絆創膏や塗り薬)や、ネット通販で見かける「いぼ取りクリーム」を自己判断で使用するのは極めて危険です。もし病変が悪性腫瘍であった場合、不完全な化学的刺激によって腫瘍組織が炎症を起こし、かえって病変の正確な病理診断を困難にしたり、浸潤を加速させたりするリスクがあります。さらに、良性のいぼだと思い込んで液体窒素による冷凍凝固を繰り返していた病変が、実は悪性腫瘍だったという医療過誤に近い事例も報告されています。
誤解3:「高齢者だからいぼができるのは当たり前」
確かに高齢になれば脂漏性角化症は誰にでも発生します。しかし、「高齢者 いぼ 皮膚がん」という観点では、長年の日光暴露(紫外線)によってDNAの変異が蓄積している高齢者ほど、皮膚がんの発症母集団となる確率が跳ね上がります。「年寄り特有のいぼ」という家族や本人の先入観が、受診へのハードルを不当に上げてしまっているのが実情です。