ご祝儀を包む際、最もミスが発生しやすいのが中袋に入れるお札の向きです。「お札が入っていれば同じ」と安易に考えてしまいがちですが、慶事(お祝い事)と弔事(お悔やみ事)では、お札の表裏と上下の向きが完全に正反対になるため、厳格な注意が求められます。
慶事における大原則は、中袋の表側(「壽」や「御結婚御祝」と書く側、あるいは中袋に「金 〇萬圓」と記載するオモテ面)に対して、お札の肖像画が描かれたオモテ面を向けて入れることです。さらに、お札の上下に関しては、中袋の封入口側(上部)に肖像画が位置するように揃えます。これにより、受け取った新郎新婦が封を開けて中身を取り出した瞬間に、肖像画の笑顔がまっ先に視界へ入る構造になります。
一方、香典などの不祝儀では「悲しみに顔を伏せる」「突然の不幸に驚いて顔を隠す」という意味合いから、肖像画を裏面かつ底面に向けて収めるのが作法です。もし結婚祝いのご祝儀で肖像画を伏せて入れてしまうと、お悔やみの作法を連想させてしまい、大変な失礼にあたります。
また、結婚式に包むお札は必ず新札(折り目のないピン札)を用意するのが揺るぎないマナーです。これには「おふたりの新しい門出を祝うために、前もって銀行に出向き、時間と手間をかけて準備しました」という誠実な真心を伝える意図があります。しわのある流通紙幣を使用することは、「急場しのぎで手元のお金を包んだ」という印象を与えかねないため、早めの両替が必須となります。