ファンのコミュニティやネット上では、長年にわたり「『LOVE』の歌詞は桜井和寿の実体験に基づく実話なのではないか」という議論が絶えません。あまりにリアルな情景描写と、登場人物の感情の生々しさが、単なる想像力の産物とは思えない切迫感を帯びているためです。
このミスチルLOVE実話の真相に迫る鍵は、1990年代中盤の音楽専門誌『月刊カドカワ』や『ROCKIN'ON JAPAN』のロングインタビューにおける桜井和寿本人の証言にあります。当時、桜井は自らの作詞手法について「誰もが言えないような情けない本音や、男のずるい部分をあえてポップスのメロディに乗せて歌うこと」への挑戦を繰り返し語っていました。バブル崩壊後の混沌とした空気感のなか、当時のJ-POPに溢れていた記号的なラブソングへのアンチテーゼとして、生活感のあるリアリズムを意図的に導入していたのです。
桜井和寿LOVE作詞背景を検証すると、特定の個人との完全なノンフィクションというよりは、桜井自身がアマチュア時代や青春期に肌で感じた「報われない恋の質感」「男の身勝手な心理」という原体験のエッセンスを抽出し、極限まで純度を高めて物語化したものと解釈するのが最も妥当です。一見すると私小説のように見せかけながら、実は徹底して計算された普遍的なフィクションを構築する——これこそが、ソングライター・桜井和寿が天才たる所以と言えます。
このようにミスチル恋愛ソング名曲ランキングの文脈で比較しても、『LOVE』の異質さは際立っています。『抱きしめたい』のような純愛でも、『Sign』のような成熟した相互理解でもない。「境界線を越えたいけれど越えられない」という思春期特有の未熟さと大人の生活感が交錯する地点に、この曲固有の美学が存在します。