通州事件の写真と真相|なぜ南京事件と混同されたのか徹底検証

通州事件の写真と真相|なぜ南京事件と混同されたのか徹底検証

通州事件の写真と真相|なぜ南京事件と混同されたのか徹底検証に関する深掘り解説を詳しく解説いたします。

現在ネット上で最も議論を呼んでいるのが、いわゆる通州事件写真誤用の問題です。凄惨を極める犠牲者の遺体写真は、当時現場に駆けつけた日本軍部隊の軍医や報道班、調査団の手によって撮影されました。防衛省防衛研究所に保管されている『支那事変 戦跡の栞』(昭和13年陸軍省公認資料、JACAR Ref.C11110548700)をはじめとする公的文書には、通州事件直後の現場状況が生々しく記録されています。

問題は、これらの日中戦争当時の記録写真の一部が、戦後および現代において「南京事件(南京大虐殺)で日本軍に虐殺された中国人被害者」の姿として世界中に流布してしまった点にあります。

近現代史研究者の秦郁彦氏らによる綿密な原典照合調査によれば、国民政府の宣伝機関が発行したパンフレットや、ハロルド・J・ティンパーリー編『What War Means』(邦題:『外国人の見た日本軍の暴行』)、さらには1990年代に米国でベストセラーとなったアイリス・チャン著『ザ・レイプ・オブ・南京』などの書籍において、通州事件における日本人犠牲者の写真が「日本軍の残虐行為の証拠」としてキャプションを改ざんされ掲載されていた事実が判明しています。

なぜこのような南京事件写真との混同が起きたのか。第一に、戦時下および戦後の混乱期において、宣伝工作(プロパガンダ)として「より残虐で刺激的な写真」が集められ、出所確認が疎かにされたまま使い回された背景が挙げられます。第二に、東アジア人の遺体写真において外見だけで国籍や民族を識別することは極めて困難であり、都合の良い文脈に当てはめやすかったという構造的盲点が存在します。

これにより、現代の言論空間では「通州事件の写真が南京事件の証拠として偽造されたのだから、南京事件そのものが虚構である」という過度な飛躍論法や、逆に「誤用を指摘する言説はすべて歴史修正主義の戯言だ」と切り捨てる両極端な対立が生まれる温床となっています。写真の出所と撮影背景を厳密に区別する姿勢こそが、歴史的事実を守る防波堤となります。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。