「発泡スチロールは石油製品なのに、なぜ燃えるゴミとして収集する地域があるのか」という疑問は、全国の消費者が長年抱き続けてきた大きな謎です。その答えは、各自治体が保有する清掃工場の焼却炉スペックとダイオキシン対策の歴史的進展にあります。
発泡スチロールの主原料であるポリスチレンは、容積の約98%が空気、わずか2%が樹脂という極めて高熱量な物質です。昭和から平成初期の旧式焼却炉では、一度に大量のプラスチックを投入すると炉内温度が急上昇して内壁の耐火レンガを融損させたり、不完全燃焼によって猛毒のダイオキシン類を発生させたりする危険がありました。そのため、長らく「不燃ごみ」として埋め立て処分に回されてきた経緯が存在します。
しかし現在、多くの主要都市では850℃以上の超高温で完全燃焼させ、有害物質を熱分解しつつ発電エネルギーとして回収するサーマルリサイクル型清掃工場の更新が完了しています。例えば代表例である東京23区分別方法では、大半の特別区において発泡スチロール製緩衝材や汚れの落ちない容器を「可燃ごみ」として処理しています。高熱量ごみを適切に混燃させることで、重油などの助燃剤を使わずに効率的なごみ発電を行うエネルギー資源へと位置付けが根本から転換されたためです。
一方で、近隣のベッドタウンや地方中核都市では、埋め立て地の延命と炭素循環を目的として「プラスチック資源循環促進法」に基づく一括回収や、容器包装リサイクル法に基づく回収を最優先しています。こうした地域では、可燃ごみ袋に発泡スチロールを混入させると「分別不徹底」の警告シールが貼られ、回収を拒否されるケースが後を絶ちません。まさに「住んでいる街の清掃インフラの世代差」が分別ルールを左右する決定打となっているのです。