引っ越し時の精算書を見て目を疑う借主は多い。数万円戻ってくるはずだった敷金が全額消え去り、それどころか追加で十数万円の請求書が届く。こうした理不尽な事態を回避するためには、原状回復の計算式を知っておく必要がある。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会などのデータや判例でも示されている通り、内装材の多くには「耐用年数」が設定されている。代表例が壁紙(クロス)だ。壁紙の耐用年数は6年と定められており、6年居住した部屋の壁紙の残存価値はわずか1円となる。仮にタバコのヤニやペットの引っ掻きキズで借主に過失があったとしても、全額を借主が負担する義務はなく、残存価値に応じた負担割合で済むはずなのだ。
退去立ち会いの場では、その場で提示された精算書や承諾書に決してサインをしてはならない。「一度持ち帰って内訳を精査した上でご連絡します」と告げ、項目ごとの単価と負担割合の妥当性を確認する時間を確保する。不透明な請求項目があれば、ガイドラインを引用しながら書面やメールで修正を求めるのが確実な自衛策だ。