正積図法を学習する際、最も多くの人が混同しやすいのが「モルワイデ図法」と「サンソン図法」の判別です。どちらも面積が正しく、赤道が直線で表現されるため、パッと見の印象が似ています。しかし、幾何学的なアプローチと適正な緯度帯には明確な違いがあります。
17世紀前半に考案されたサンソン図法は、経線が「サインカーブ(正弦曲線)」を描きます。緯線の間隔がすべて「等間隔」であるため計算が非常にシンプルで、赤道周辺や低緯度地域における大陸の形の美しさはモルワイデ図法を上回ります。反面、高緯度に向かうにつれて経線が急激に尖った角度で極点に集まるため、極付近の歪みが極端に激しくなるという弱点がありました。
モルワイデ図法は、まさにこのサンソン図法の高緯度における極端な歪みを和らげるために生み出されたものです。経線を「楕円弧」にし、極に向かって緯線間隔を狭めることで、中緯度から高緯度にかけての陸地の形状を可能な限り自然な視認性に保つことに成功しました。
定期試験や入試問題、あるいは資料作成の現場で瞬時に見分けるためのチェックポイントは以下の2点です。
- 外周(最外側の経線)の形状を見る:全体が尖った紡錘形(木の葉のような形)をしていればサンソン図法、滑らかで丸っこい楕円形であればモルワイデ図法。
- 緯線の幅(平行線の間隔)を見る:赤道から極まで緯線の幅がすべて同じ等間隔ならサンソン図法、高緯度(上下の端)に行くほど緯線の間隔がギュッと狭くなっていればモルワイデ図法。
なお、地理学者ジョン・ポール・グードはこの両者の性質に着目し、「緯度40度44分」を境界線として、低緯度側にサンソン図法、中高緯度側にモルワイデ図法をつなぎ合わせるというウルトラCを成し遂げました。これが教科書でおなじみのグード図法(ホモロサイン図法)です。陸地の形を綺麗に見せるために海洋部分にあえて切れ込みを入れたグード図法は、モルワイデとサンソンのハイブリッド傑作として知られています。