本作のハイライトとも言えるのが、サビで繰り返される「バラの花でも買って帰ろうかな」という印象的なフレーズです。このバラの花というアイテムには、主人公の複雑な心情が幾重にも重ねられています。
日常のさりげないプレゼントとしては、バラの花束はあまりにもドラマチックで気恥ずかしい選択肢です。普段なら絶対に買わないようなキザなアイテムを思い浮かべてしまうほど、主人公は「関係を修復したい」「彼女の機嫌を直したい」と激しく焦っていることが読み取れます。
しかし、直後には「愛を伝えたいだとか、臭いことばっか考えて待ってても」と、自らの甘い妄想をシニカルに打ち消します。この「ロマンチストになりきれない不器用さ」こそが、楽曲の持つビタースイートな魅力の正体です。確かな好意がありながらも、ストレートに「好きだ」「ごめん」と言えない男のプライドと照れ隠しが、「だとか」という曖昧な語尾に凝縮されています。
二人の関係性については、「同棲中のすれ違い」「別れを切り出されそうな瀬戸際」「片思いの妄想」などファンの間でも様々な解釈が存在します。しかし、部屋に残る彼女の気配や匂いに執着する描写からは、「失いかけて初めて気づいた相手のかけがえのなさ」と向き合う生々しい現実が最も強く伝わってきます。