現在一般公開されているトンネルの最奥部、約550m地点に到達すると、訪問者は静寂の中で不可思議な光景に出会います。暗闇に浮かび上がる噴水から放たれた水滴が、空中でピタリと静止し、時には重力を無視して上方へと昇っていく――。この驚くべき仕掛けが、高森湧水トンネル公園の代名詞である「ウォーターパール」です。
オカルトや魔法の類ではなく、ここには緻密に計算された物理光学の原理が組み込まれています。水滴に特定の音波(超音波振動)を与えて一定のリズムで落下させ、そこに特殊な残像効果を生むストロボライト(発光器)を照射。ストロボの発光周期を水滴の落下速度と完全に一致させると水滴は「空中で静止」して見え、発光のタイミングをわずかに遅らせると「水滴が逆流して上昇している」ように人間の脳が知覚します。地下の静けさと相まって、時間を超越したかのような錯覚を体験できる第一級の見どころです。
さらに、トンネル内には五感を刺激する多彩な要素が散りばめられています。
- 通年17℃の天然クーラー:外気温が35℃を超える真夏でも、坑内は常に約17℃。入口の扉を抜けた瞬間に体感温度が激変し、全身を心地よい冷気が包みます。
- 歩行者用通路の中央を流れる清流:左右の遊歩道に挟まれた中央の水路には、毎分32トンの透明な湧水が滔々と流れており、底の小石や水草まで克明に見通せる圧倒的な透明度を誇ります。
- 湧水館(資料館):トンネル入口手前に併設されており、当時のトンネル工事写真や掘削機の模型、阿蘇のカルデラ構造と地下水循環メカニズムが詳細に解説されています。