和歌山・ホテル川久の評判検証|総工費400億の現在と王様のビュッフェ

和歌山・ホテル川久の評判検証|総工費400億の現在と王様のビュッフェ

和歌山・ホテル川久の評判検証|総工費400億の現在と王様のビュッフェの全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。

和歌山・白浜のホテル川久を語るうえで、避けて通れないのが「総工費400億円」という天文学的な建設コストと、それに伴う波乱の歴史です。もともと1949年創業の老舗温泉旅館「川久」として皇族も宿泊する格式を誇っていましたが、バブル景気華やかなりし1989年、2代目館主の号令のもと「世界遺産に匹敵する、数百年先にも残る美の殿堂を創る」という途方もない構想が動き出しました。

建築を手掛けたのは、独創的な作風で知られる建築家・永田祐三氏。世界各国から最高峰の資材と名匠を白浜の地に集めました。外壁を彩る中国・紫禁城と同仕様の瑠璃瓦約47万枚、ニュージーランド産珪砂を用いた左官仕上げ、イギリスの伝統左官職人による擬石柱など、現代の建築工法や予算感覚では二度と再現不可能な贅が尽くされています。

とりわけ圧巻なのが、1階メインロビーの見上げるばかりの天井です。フランスの人間国宝(メートル・ダール)である金箔職人ファブリス・ゴアール氏とその工房メンバーが招聘され、手作業で貼り巡らせた金箔天井の面積は約190坪(約730平方メートル)。純度97%の22.5金箔が惜しみなく使われており、2020年には「連続して金箔押しされた天井の内装」としてギネス世界記録に公式認定されました。日中は外光を受け、夜間は照明に照らされて鈍く妖艶に輝くその空間は、単なる宿泊施設のロビーを超越した現代の宗教建築のような威厳を漂わせています。

しかし、理想の追求は過酷な現実と衝突します。当初は入会金数千万円を要する完全会員制ホテルとして開業したものの、バブル崩壊の余波を受け、1999年に負債総額約400億円を抱えて会社更生法の適用を申請。事実上の経営破綻に追い込まれました。その後、北海道を中心にホテル事業を展開するカラカミ観光(現・Karakami HOTELS&RESORTS)が事業を継承。一般客が宿泊できる高級リゾートホテルへとリブランディングを図り、奇跡的な再生を果たして現在の隆盛に至っています。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。