「まさかラーメンに3000円払う日が来るとはね」。そう苦笑いするのは、渋谷で働く30代のITエンジニアだ。道玄坂の路地裏にオープンした新店では、厳選されたブランド豚のチャーシューと、トリュフが香る特製醤油スープの1杯が3200円で提供されている。しかし、店内は連日満席だ。客の半数は外国人観光客だが、残りの半数は「本物の味」を求める国内のファン。かつてのB級グルメの枠組みは、完全に崩壊した。
この価格高騰の背景には、食材への妥協なきこだわりがある。スープに使う地鶏の血統から、小麦粉の配合比率、さらには器の有田焼に至るまで、すべてが「作品」としてのクオリティを求められている。安さを競う時代は終わり、どれだけ独自の価値を提供できるかという勝負が始まっているのだ。