モネの晩年は、病との闘いでもあった。白内障の進行に伴い、彼の視界は黄色や赤色に歪み、青や緑の識別が困難になっていったという。それでも彼は描き続けた。チューブのラベルに書かれた文字を頼りに絵の具を選び、キャンバスに叩きつけた。
近年の美術史研究と修復技術の進歩により、彼が失明寸前の状態で描いた作品の「本来の色彩」が明らかになりつつある。今回の展示では、紫外線解析やX線スキャンデータを用いて、モネが脳内で捉えていた色彩をシミュレートした特設コーナーも設置されている。そこにあるのは、単なる風景画ではない。濁った視界の奥で燃え盛るような、強烈な色彩の魂そのものだ。