『にち10』を語る上で欠かせないのが、番組冒頭の20〜30分間に繰り広げられる安住紳一郎 オープニングトーク 名作の数々です。リスナーの間で「神回」として語り継がれるエピソードは、いずれも単なる身辺雑記にとどまらず、異常な熱量で深掘りされた調査報道のような凄みを帯びています。ここでは、安住紳一郎 日曜天国 神回まとめとして必ず名前が挙がる代表的な2つのエピソードを振り返ります。
まず筆頭に挙げられるのが、日曜天国 パンダ命名 伝説です。上野動物園でジャイアントパンダの赤ちゃんが誕生した際、安住氏は過去の中国からの贈呈データや世界各国のパンダの名前の傾向、音韻の法則を徹底的に分析。公募上位に来る名前を論理的にプロファイリングし、2017年の「シャンシャン(香香)」、そして2021年の双子パンダ「シャオシャオ(暁暁)」「レイレイ(蕾蕾)」の命名を見事に的中させました。単なる当てずっぽうではなく、膨大な資料を読み解くジャーナリスティックな執念をエンターテインメントへと昇華させたこの放送は、ラジオ界に激震を走らせました。
もう一つの金字塔が、日曜天国 醤油差し エピソードです。市販の醤油差しが持つ「液だれ」という些細な日常のストレスに激怒した安住氏が、日本中の醤油差しを自腹で買い集め、自宅のキッチンで深夜に延々と注ぎ心地をテストし続けるという怪作です。メーカーの開発思想にまで踏み込み、注ぎ口の微細な角度について熱弁を振るうその狂気じみた探求心は、聴く者に爆笑とともに底知れぬ凄みを感じさせました。
これらのエピソードに共通しているのは、日常の見過ごされがちなディテールに光を当て、誰も真似できないレベルまで執拗に掘り下げる職人技です。リスナーから寄せられる秀逸な投稿メッセージも含め、番組全体が「普通の人々の愛おしい日常」を肯定する巨大なアーカイブとなっています。