県外の生活者にとって「香川=うどん」の印象は極めて強固である。しかし、職場への配当用として生麺や半生麺を持ち帰ると、「調理に鍋とお湯が必要」「賞味期限内に配り切れない」「重量があり移動の負担になる」といった実務上のハードルに直面する。この課題を解決する存在として、香川お土産うどん以外のカテゴリー、とりわけ製菓類が急速に評価を伸ばしている。
背景にあるのは、香川県が江戸時代から培ってきた砂糖製造の歴史である。高松藩の財政を支えた「讃岐和三盆糖」の精製技術は、職人の緻密な細工菓子文化を育て上げた。その伝統を現代的なギフトへと昇華させた筆頭が、老舗海老煎餅メーカーが手掛ける志満秀クアトロえびチーズである。カマンベール、ゴルゴンゾーラ、チェダー、モッツァレラをベースにした4種のチーズクリームを、鮮やかなパステルカラーの海老煎餅でサンドした逸品だ。従来の乾き物の枠組みを超え、香川おしゃれスイーツ日持ちという厳しい条件(常温で約180日)をクリアしたことで、オフィスでの配給ギフトとして不動の地位を獲得した。
また、香川銘菓ばいこう堂和三盆に代表される干菓子は、職場のデスクで手軽につまめるサイズ感と、1年近い長期保存性が強みである。和三盆糖特有の「すっと溶ける微細な粒子感」は、甘いものを普段食べない層からも「角のない上品な甘さ」として称賛される。オフィスのカフェスペースや給湯室に置いても嵩張らず、個包装を開けるたびに瀬戸内の四季を感じさせる造形美は、香川お土産お菓子ばらまきの文脈において極めて機能的である。