作業が思うように進まない背景には、認知心理学における「ワーキングメモリ(作業記憶)のオーバーロード」が深く関わっています。人間の脳が一度に保持・処理できる情報量には物理的な限界があり、複数の案件を同時に気にかけるマルチタスク状態になると、脳の実行機能は著しく低下します。
認知科学の研究でも、マルチタスクが苦手な人ほど「あれもやらなければ、これも終わっていない」という未完了タスクへの焦燥感(ツァイガルニク効果)に脳の容量を奪われ、目の前の単純な作業ミスを連発することが実証されています。マルチタスクは才能ではなく、構造的に脳のパフォーマンスを下げるトラップに過ぎません。
さらに、心理的な要因として無視できないのが「他者評価への過剰な恐怖」と「自己肯定感の低さ」です。「質問したら無能だと思われるのではないか」「完璧に出さないと怒られる」という不安が、心理的防衛として過度な下調べや資料の装飾を誘発します。心理的バウンダリー(自分と他者の課題の境界線)が曖昧なため、他人の仕事まで引き受けてキャパシティを超えてしまうのも、要領の悪さを引き起こす大きな原因と心理です。