坂本龍馬の愛刀・陸奥守吉行の真相|焼失説覆した最新鑑定と現在

坂本龍馬の愛刀・陸奥守吉行の真相|焼失説覆した最新鑑定と現在

坂本龍馬の愛刀・陸奥守吉行の真相|焼失説覆した最新鑑定と現在の全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。

なぜ陸奥守吉行には長らく「焼失説」や「偽物説」がつきまとっていたのでしょうか。その発端は、1913年(大正2年)に北海道釧路市で発生した坂本家住宅の火災にあります。この火災によって吉行は猛火に包まれ、刀身が赤熱して変形し、吉行本来の特徴であった美しい刃紋が失われてしまいました。

火災後、刀身の反りを直し、焼き直す「再刃(さいば)」の処置が施されましたが、これによって本来の互の目乱れ(ぐのめみだれ)の刃文が直刃(すぐは)調へと変化してしまいました。刀剣の鑑定基準において、刃文が消失した刀は「吉行本来の作風を示していない」と判断され、昭和から平成初期にかけて「火災で失われた」「現存するものは別物ではないか」という疑念が定着してしまったのです。

この定説を覆したのが、京都国立博物館の学術調査チームによる精密鑑定でした。高精度X線透過撮影や蛍光X線分析、光学顕微鏡を用いた微細構造の解析を実施した結果、刀身の奥深くに火災前の原刃文の痕跡が残されていることが判明しました。さらに、柄(つか)に隠れる茎(なかご)の銘振りが吉行の真筆と完全に一致し、刀身の寸法や反りの特徴も幕末期の記録と寸分の狂いもなく合致したことで、「火災に遭いながらも現存する、坂本龍馬本人の佩刀である」という結論が公式に下されました。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。