「標高が高い山ほど登るのが難しい」という認識は、登山界においては明確な誤解です。山岳遭難や遠征記録を追う現場の記者たちの間では、むしろ「真の試練は2番目にこそある」というのが揺るぎない共通認識となっています。
日本で2番目に高い山は、山梨県南アルプス市に位置する南アルプス最高峰の「北岳」です。北岳の標高は3,193m。富士山(3,776m)との標高差は583mありますが、観光地化された富士山とは一線を画し、手付かずの険峻な大自然がそのまま登山者を迎え撃ちます。
一方、世界で2番目に高い山としてパキスタン北東部のカラコルム山脈に標高8,611mでそびえ立つのが「K2」です。世界最高峰エベレスト(8,848.86m)より237m低いものの、そのK2の登頂難易度は8,000m峰14座の中で群を抜いて最凶と恐れられてきました。商業化が進み、固定ロープやシェルパの補給路が確立されたエベレストに対し、K2は垂直に近い氷壁と落石が連続するピラミッド状の独立峰であり、人間の侵入を本能的に拒絶し続けています。