ネット上の掲示板やSNSで毎年春になると話題にのぼるのが、鶴甲第一キャンパスの坂道と登山の評判だ。単なる大げさな比喩表現だと思われがちだが、実地調査を行うとその厳しさは数字にもはっきりと表れている。
最寄り駅の阪急電鉄「阪急六甲駅」の標高はおよそ60m。これに対し、鶴甲第一キャンパスの標高は約160m前後に達する。つまり、駅からの直線距離わずか1.5kmほどの間に、マンション30階分に相当する約100mの標高差を一気に登り詰める計算だ。途中の坂道は最大勾配が10〜15%に達する箇所もあり、一般的な住宅街の坂としては極めて急峻な部類に入る。
「4月の入学直後、軽い気持ちで駅から歩いたら講義開始前に大汗をかき、服が汗でびしょ濡れになった。それ以来、徒歩での登校は完全に諦めました」と語るのは、ある在学生の手記だ。真夏や梅雨の時期にこの坂を徒歩で登り切るのは、アスリート並みの体力が要求される。そのため、大半の学生は公共交通機関か二輪車を選択するのが実情だ。
一方で、この地形特有の移動手段として根強い人気を誇るのが、神戸大学鶴甲キャンパスでの原付・バイク通学だ。大学側が指定する交通安全講習の受講や登録手続きを完了すれば駐輪場の利用が認められるため、急坂に悩まされたくない学生にとっては最大の機動力を発揮する選択肢となっている。ただし、冬場の路面凍結や下り坂でのスリップ事故など、山道ならではのリスク管理が欠かせない。