プロクラブが本拠地を移転した大型公共スタジアムには、全国的に「稼働率低下」や「財政圧迫による取り壊し」といった疑念の目が向けられがちです。トランスコスモススタジアム長崎(以下、トラスタ)に関しても、移転発表直後から検索窓に「解体」の二文字が並ぶ事態となりました。しかし、トラスタが解体される予定は現在も一切ありません。
噂が一人歩きした背景には、プロスポーツ専用施設と勘違いされた側面の強さが挙げられます。トラスタの正式名称は「長崎県立総合運動公園陸上競技場」であり、元来は長崎県が保有する日本陸上競技連盟第1種公認の基幹陸上施設です。2014年の「長崎がんばらんば国体」開催に合わせて約2万人収容の近代的なメインスタンド増改築が行われており、施設自体の耐用年数や構造的安全性は極めて高い水準を保っています。
現地を訪れると、週末ごとに県内の中学・高校総体や陸上競技記録会、マスターズ陸上、小学生陸上フェスティバルが活発に開催されています。関係者の証言によると、「Jリーグの試合が毎週末行われていた時期は、週末の一般陸上利用やアマチュア団体のスケジュール調整が極めて過密だった」といい、移転によって本来の第1種陸上競技場としての貸し出し枠が拡充され、県内のアスリートや学校教育の現場からはむしろ歓迎されている側面すらあります。