邦楽ロックとJ-POPの違いはどこにあるのか。レコードショップの棚の分け方ほど曖昧なものはない。メロディがキャッチーであればポップスなのか、ギターが歪んでいればロックなのか。現場のミュージシャンや熱心なファンに問えば、答えは技術論ではなく「スタンス」に帰着する。
J-POPが「不特定多数の誰か」に向けた丁寧な贈り物であるとするなら、邦ロックは「自分自身、あるいは目の前の数人」に向けた生々しい独白から始まる。ルーツを辿れば、はっぴいえんどが日本語でロックを鳴らした1970年代、そして80年代から90年代のバンドブームに行き着く。商業的なヒットを最優先に仕掛けられたポップスへの違和感から、自らの手で楽器を鳴らし、不器用な言葉を吐き出す。その精神性こそが、今なお境界線を引く決定的な基準だ。
商業音楽の枠組みに回収されそうで、決して完全には染まらない。タイアップ曲であっても、どこかに不穏なコード進行や剥き出しのエゴを忍ばせる。この危うい緊張感こそが、リスナーを惹きつける最大の磁場となっている。